春01

博奕主義の友達が欲しい。博奕主義だった友達はいる。博奕主義に憧れる友達もいる。博奕主義を猛烈に批判する友達もいるが、やはり博奕主義の友達はいなくて、そもそも大人と博奕主義は両立し得ないものであるという、火を見るよりも明らかな事実が現前する…

自罰的な、余りに自罰的な

自罰的か他罰的かでいえば他罰的であり、犬派か猫派で言えば犬派の旧友との軋轢についての話である。 「ソードアートオンライン」を蛇蝎の如く嫌うのは教えてくれた旧友が不登校になったからで、いや、不登校になどならなくとも、あの畜生のことは嫌いだった…

第六稿

楕円のピアスが髪から覗いた。私がピアスに触れると俺金属アレルギーだから長く付けてられないんだけどね、と恥ずかしそう目を逸らした。人間がいつ絶望するか知ってる?やる前からそれが出来ないことだと解る瞬間に絶望するんだよ。色弱は警察になれない、…

ラッパー風情

あのね、ラップバトルを初めて目撃したの、腹中の液体を揺らす爆音、三秒に一度眼球を突き刺すミラーボール、微差ほどの個性をビートに乗せて口語で殴り合う超男性。八小節のラップの応酬に既視感、何かに似ていると思案すると、それは私が人を傷つけようと…

冬(仮)

明日休みだから飲みに行きましょうよと業務中から喫煙所、駅構内でも駄々こねていると、長男っぽい末っ子の先輩と、末っ子っぽい長女の後輩とが付き合ってくれた。美寿々だとか夜明け前だとか可愛らしい名前のお酒をコクリコクリと飲んでは意味もなく呵々と…

間抜けな傷害

お前の書いた文章見てると反吐が出る、という旨を明確な悪意と明確な愛のわかる文体で私に言ってくれた男に会いに行きたくなって殆ど5年ぶりに再開した。家の中は酒瓶だらけで窓は閉め切っていて部屋の惨状を一ミリも隠そうとせず待ち構えていた。男は来年…

十年ぶりの喘息

ゴールデン街でテキーラやらウイスキーやらを飲みまくって「幸せになりたい」と私を除く総ての人、時計、酒、アイフォンとが絶叫していた。私は幸せになりたいと思ってなかったから、若しくはここにいる誰よりも幸せになりたいから絶対にそんなこと叫ばなか…

夜逃げ

「今日バイトだったがこれは首だな」とスキットルに入ったウィスキーをコクリコクリと飲みながら、Googleマップを見ては人間が本来移動し得ない距離をものすごいスピードで移動する青い点をみてニタニタと笑っている。私は青い点が動くことの何が楽しい、と…

全治二秒

私がまだ芸人になろうと仕事を辞めて二日目の夜のこと、ゴールデン街で泥酔してラーメンズとバナナマンの魅力やら嫉妬やらをごちゃ混ぜにしたものを友人に一方的に投げ続ける悪行をしていると、バーテンさんがラーメンズが好きな人いるよと、小柄な女性を紹…

金木犀という名の惑星

或る初秋の候、ドアを開けると朝霧が立ち込めていた。誰もが寝静まっている時間に霧の中にポツネンと佇んでいると、世界で私一人だけ起きているような気がした。霧と月を撮ってみたが、アイフォンに搭載されているカメラではどちらもうまく撮れなかった。ア…

蚤の市

蚤の市は初夏の芝生の上で日差しに首元を焼かれながら古本を吟味していたところ、帽子と日傘で完全武装した女性が近づいてきて私の手元から本を奪い取りレジへ向かった。横暴な人間がいたものだと逃げ出そうとすると彼女は私の前に立ち塞がり先ほど購入した…

深夜二時に於ける分水嶺

或る夏の記憶である。年齢も性格も何もかもが違う。職場が同じと言う共通点のみで四人は集まり、終電を逃し、花火をした。うち一人は翌日に引っ越しを控えていた。 もう四人で集まることはないという予感の元「また集まろうね」だとか「もっと早く集まれば良…

中央線快速東京行き

麗らかな日和に誘われ東京行きの電車に乗り込こむ四月。前日の豪雨に見舞われ、桜の散った春を眺め、「四月は最も残酷な月」という古来の詩人の言葉を思い浮かべた。 私は左端の席を確保し、隣に女子高生が座っている。彼女のリュックにはストラップが三つ。…

宮川に抛つ

ある男が安い居酒屋を見つけたと言って私をサイゼリヤに連れて行った。 男は明日世界が終わるかのような勢いで、浴びるように鯨飲する。事実、手元の見当が狂って服は酒塗れである。私は店員に謝りながら店を出た。会計は二万を超えて、全く安くなかった。 …

東京都庁

私が無職のころ、友人と都庁に登ったことがある。東京タワーも高尾山も梅田タワーも一緒に登った。無論、スカイツリーもいずれ登るだろう。彼はとにかく高い所が好きで、私は高いところが嫌いだった。 彼は東京の街を見下ろして、昨夜飲みに行った街や、自宅…

青色は死臭を孕んで

私は橋を渡っている。等間隔に並ぶ街灯、等間隔に並ぶ欄干、等間隔に並ぶガードパイプ。個性などいらぬという気概で毅然と並ぶ彼ら(街灯、欄干、ガードパイプ)に少しの恐怖と羨ましさを覚えた。今日は風が強く枯れ葉のように飛ばされるのではないかと、可…

はじめまして。

2020年1月7日(火) おはようございます。 今年からどうぞ宜しくお願い致します。 年が変わり月日が少したち、お仕事が始まる方もでできた頃ですね。 年末年始は連日連夜の暴飲暴食と睡眠不足により、身体がとても疲弊しました。 今日は体調を良くするために…